Photo
小学生の頃におねだりをして買ってもらったヤシカのカメラ。大好きな鉄道写真を撮っていた。いつの間にか無くしてしまって写真から遠のいた。22歳の時、1991年にニューヨークの蚤の市で50ドルで手に入れた古いハッセルブラッド500C/Mがまた写真を撮るきっかけだった。バシャッと大きな音を立ててシャッターが切れることがなんだか楽しくて、家の周りのダウンタウンを撮り始めた。仕事で行くのにもいつも持ち歩いて、ストリートの人々を撮った。後になってこの写真のジャンルはストリートフォトグラフィーというものだと知った。僕はどちらかといえば映画の1シーンを観ているような感覚で撮っている。撮り続けている。人には物語があるなあと楽しんでいる。仕事で依頼されて撮る時も同じ気持ち。人には物語がある。ライカもソニーも使うようになったけれど、撮りたい気持ちは無くさないでいる。

Photography Short Story Collection "Found stories from a movie that doen’t exist." Vol. 1
「存在しない映画、存在した光景」写真短編集Vol.1
Photographic Art
Official Web https://www.foundstories.photography/
これはまぎれもなく映画である。ただし、その映画は存在しない。この写真シリーズはこの世に存在しない映画のワンシーンというコンセプトで撮られている。映像作家である私が初めて写真という舞台で発表したもの。これまで訪れたさまざまな場所で遭遇した物語の一辺。ストリートでシャッターを切り、偶然写真に写ったその人物にまつわる「物語」を想像し、創作した。これらはまるでどこかに存在している映画のワンシーンを見ているかのようだ。「切り取った一枚の写真」「創造されたシナリオ」。存在しない映画であり、存在した光景である。
"Liege station" 2008 Hungary
"Romantic Gunshot" 2009 Scotland
"Friendship" 2008 Belgium
"The Rye Field and the Sky" 2009 Scotland
"Letters" 2000 France
"The Unknown Future" 2003 France
"White Bridge" 2006 France
"Beautiful Future" 2003 Japan
写真展は京都、東京、金沢、富山で巡回され多くの来館者を動員。写真集はVolume1が刊行された。
Kyoto Exhibition@Hotel Anteroom
Kanazawa Exhibition@Kanazawa Station
Tokyo Exhibition@Mercedes-Benz “Me”
Tokyo Exhibition@Tokyo Denki University
この写真作品を展覧会で展示する際にそれぞれの写真に音楽を用意しました。それはまるでたった1シーンの映画のように。

Kishibe Rohan At a Confessional | 岸辺露伴は動かない 懺悔室
Photo for Movie
岸辺露伴の映画の撮影でイタリア、ヴェネツィアに同行した。東京の現場とは違った空気感。歴史の重みを終始感じながら写真の撮影場所を探った。作品と重ねるうちに実写版の岸辺露伴らしさ、のようなものが生まれているように感じた。いつも通りセッションのようにシャッターを切った。会話は無い。霧に包まれたヴェネツィアの風景に小さなシャッター音だけが聴こえていた。
Original Photo
Original Photo

Kishibe Rohan Poaching seashore | 岸辺露伴 密猟海岸
Photo for TV Drama
「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」その写真を担当し、続く「密猟海岸」も担当することができた。本編撮影の合間を縫って二人で海岸を歩きながらいいアングルを探った。雲の形と海の反射の光を選び、静かにシャッターを切った。パリで味わった空気が蘇る。表現者同士の空気。
Original Photo
Poster

Kishibe Rohan Goes to the Louvre | 岸辺露伴ルーヴルへ行く
Photo for Movie
岸辺露伴の映画版として制作が始まった「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」その写真を担当し、パリへ同行した。曇り空と小雨が続く秋のパリは映画の舞台としてパリの郷愁を見せてくれていた。大袈裟なセットを使わず、一対一の関係でシャッターを切った。表現者同士の空気に満ちていた。

A Stranger in Shanghai | ストレンジャー
Photo for TV Drama
今からおよそ100年前、大阪毎日新聞の特派員として上海を訪れた芥川龍之介。 「ストレンジャー」は、日本文学の代名詞・芥川の小説世界と、当時の中国の現実を交錯させながら、20世紀史に刻まれた日中の精神的交流を描いた8Kドラマ作品。上海撮影に同行し、写真を担当した。

Clouds above the Hill | 坂の上の雲
Photo for TV Drama
映像化は不可能と言われていた司馬遼太郎原作の作品のドラマ映像化が本格的に撮影に突入し、そのシーンの写真を担当することになった。原作に忠実に、そして史実に基づいた考証作業を経て作り上げられる日露戦争の情景が目の前に現れ、ドラマのワンシーンを撮影するという意識が遠のき、タイムスリップしたかのような心境で夢中でシャッターを押した。そして現れた写真たちは高精細に記録された戦争そのものの風景だった。
Poster A
Poster B

Yae no sakura | 八重の桜
Photo for TV Drama
NHK大河ドラマ ”八重の桜”劇中の写真を担当した。単なるドラマのPR用の写真ではなく、迫真の風景を切り取るべく、撮影本番の中でシャッターを切ることを提案し、許された。映像とは違った切り口で、息を潜め、瞬間を収めた。役者が最も真に迫っている表情を収めることに注力した。
Silent Poor | サイレント・プア
Photo for TV Drama
ドラマ “サイレントプア”のPRポスターのための写真を担当した。雪の日の東京下町で撮影。生の表情を撮るために一緒に走りながら撮影。切なさや儚さをカラーとモノクロで表現した。
Life guidance for the 55-year-olds and all triers | 55歳からのハローライフ
Photo for TV Drama
TVドラマ “55歳からのハローライフ” のタイトルバック用およびポスター用の写真を担当した。主演、助演の演技を撮影本番中にシャッターを切った。全てモノクロを提案。生き方を描くときにモノクロが最も色彩豊かに見える。
Ayashiki-Bungo-Kaidan"Kataude" | 妖しき文豪怪談「片腕」
Photo for TV Drama
日本の文豪たちの短編小説作品を、気鋭の映画監督たちが映像化に挑戦したドラマ。そのうちの一つである川端康成原作 落合正幸監督による「片腕」のシーンを写真に収めた。
写真 : 菱川勢一 原作 : 川端康成「片腕」 主演 : 平田満 芦名星 ドラマ監督 : 落合正幸