What is Film Craft ?

日本には屏風、掛け軸というものがあります。それらは伝統的な日本の美術品であり、日本文化の重要な要素です。そのうちの一つ『屏風』は、折りたたみ可能な板でできた、通常は二つ折りの板状のもので、室内の空間を区切ったり、風を遮ったりするために使用されますが、同時にその美意識の高さから美術的な作品としても高く評価されています。日本の風景、歴史的な場面、花鳥、抽象的なデザインなど、さまざまなテーマで装飾されます。また、『掛け軸』は、縦に長い絵画や書道の作品を展示するための媒体です。季節の風景、詩、禅の教え、書道の名言など、様々なテーマで描かれ、日本の美的感覚や哲学を反映しています。どちらも日本の伝統的な美術技術と芸術的な才能を示すものであり、日本文化の美しさや繊細さを体現しています。これらは、日本の家庭や寺院、美術館などで見ることができ、日本の歴史と美学に触れる素晴らしい機会となっています。ここでは私自身がこれまで映像や写真という表現を手がけてきた中で、ディスプレイやスマートフォンのスクリーンを屏風や掛け軸になぞらえ創作してきたものを日本の伝統的な手法と重ねてFilm Craftと称して紹介しています。

Siren in the Silence

Poetic Documentary | 自主制作

自然はいつも共存を求めてきました。

でも、私たちはその呼びかけに耳を傾けようとしませんでした。

この「おりん」は、日本の伝統的な仏具です。

自然の中でおりんが鳴ります。それは、心をひとつにし、純粋な気持ちになるための合図です。

争いの終わりの合図を鳴らしましょう。

私たちが変わる合図を鳴らしましょう。

おりんが響きます。自然と共に調和するために。

Orin provided by Shimatani Syouryu Studio Co., Ltd.

Orin Manipulation Yoshinori Shimatani, Seiichi Hishikawa

Voice Tim Stephenson

Location cooperation Abe Farm, Shiraoi Town

Production Management Kosuke Nakaya (kuwaku)

Production Cooperation DRAWING AND MANUAL

Director/Planning/Cinematography Seiichi Hishikawa

srk

Photographic Art|自主制作

写楽。活動期間たったの10ヶ月にして145点もの絵画を残し忽然と消えた謎の絵師。彼の描いた役者絵はみな、顔や体のパーツが大胆にデフォルメされ、表情やポーズは躍動的に誇張され、まるで今にも動き出そうとしている。 その生命感あふれる作品たちは今も昔も日本のみならず全世界で人々を魅了する。僕もその一人。彼の型破りな世界観からインスピレーションを得て、僕の創作を突き動かし、この 「srk」はうまれた。彼の活動した時代のカルチャーに想いを馳せ、現代に表現する。今回はvolume1から4として4つのスタイルを表現した。

srk | The Film

Photographer / Cinematographer : Seiichi Hishikawa
Inspired by Sharaku
Model : RUKO, Chika Sugimoto
Styling : Jyuri Oda   Makeup : Maki Tawa, Naoko Ishii
Lighting : Tatsuniwa Doi   Assistant : Kazuo Tsujimoto
Production Management : Noritaka Moriguchi, Mizue Kawamura

Xylophone | 森の木琴

Brand Film | 2011

この映像が完成したのが2011年3月10日。日本ではその翌日に震災が起きました。公開して間もなく世界中から注目を集め、カンヌライオンズで三部門で受賞するなど思いもよらない高い評価を受けた作品。森の窮状の環境問題を訴える内容で、44メートルの手作りの木琴がバッハのカンタータ147番を奏で、林業が止まり、やせ細りながらも美しく見える森の情景とともに表現した。Youtubeではすでに1000万ビューを超えるアクセスを記録して、いまだに伸び続けている。この作品は国内外で20を超える賞を受賞するに至りました。

"Xylophone" Behind the scene

試したカタチ24種類、傾斜角度12度、鍵盤の数413、製作期間6ヶ月、ロケーションハンティング64箇所、木琴全長44メートル、撮影のテイク50を記録したドキュメンタリー

Xylophone Creative Team

Creative Director: Morihiro Harano (MORI, ex-Drill)
Art Director: Jun Nishida (Drill)
Copywriter: Noriko Yamada (Drill)
Sound Designer: Kenjiro Matsuo (Invisible Designs Lab)
Director: Seiichi Hishikawa (DRAWING AND MANUAL)
Wood Engineer: Mitsuo Tsuda
Cinematographer: Eitaro Yamamoto (Shadow-dan)
Editor: Hitoshi Kimura (Book), Ryosei Suzuki
Producers: Toshifumi Oiso (Engine PLUS), Hideyuki Chihara (Engine PLUS)
Agency Producer: Ayako Yoshinoya (Dentsu)
Agency: Drill + Dentsu
Client: NTTDocomo
Special thanks to Kama City

Dousuru-Ieyasu | どうする家康

Title Art | Opening Sequence of TV Drama | 2023

安土桃山時代から江戸にかけて(1520-1600)の美術や工芸を参考に創作しました。安土桃山時代には、武士や戦国大名の文化的な競争が激化し、美術や工芸が社会的に重要な役割を果たしました。金工や陶磁器の製作が発展し、茶道具や刀装具などの高品質な工芸品が生まれました。特に茶の湯文化が重要で茶陶や茶碗などの茶道具が洗練されました。絵画では、狩野派や豊臣秀吉の支援により、スクリーンや絵巻物における風景や風俗画が隆盛しました。また、浮世絵が発展し、庶民的な日常生活を描いた作品が多く制作されました。彫刻も重要な美術形式であり、仏教美術においては、仏像や仏具の制作が盛んで、新たな彫刻スタイルが確立されました。武道と芸道が密接に結びつき、武士階級が茶道、華道、能楽、弓道などの芸道に精通し、これらが文化的な重要性を持ちました。これらのことを参考にしながら同じ映像なのにドラマの話が続いていくに従って違うように感じるように抽象表現を用いています。「石のように見えるものは家臣たちかな」「太陽のような丸いものは家康か、または瀬名かな」など、丸や線で構成したアニメーションにどこか人を投影してしまうような想像を導く映像を心がけて創作しています。

Other Type Of Dousuru-Ieyasu Titleback

  • そうした歴史の上にある表現をどう読み込み、成立させるか、検討を重ねた。未熟な家康を「丸」に見立て、「真円」へ成長していくプリミティブな線画や時代考証から紡ぎ出した造形。流れ、間、光。長谷川等伯や尾形光琳、葛飾北斎のような絵師たちが、もし現代に生きていたらどんなアニメーションを作っていただろうという想像から、偉大な絵師たちを憑依させるような気持ちで描いたベーススケッチ。舞台となる安土桃山時代からの物語に合わせてシンプルなものに仕上げている。

  • Dousuru-Ieyasu Title-art #1 Creative Team

    Art Director: Seiichi Hishikawa

    Animator: Marina Takahashi+Seiichi Hishikawa+Ayaka Takamatsu

    Music: Hibiki Inamoto + NHK Symphony Orchestra

    Production: DRAWING AND MANUAL

Edition #1

Edition #3

  • 初期は浅い色彩と抽象表現で表現し、中期はそこへ黒や赤、金といった人間の欲のようなものを取り入れました。そして今回の三つ目は抽象から具象へ、つまり夢や思想が形になっていくことを表現しました。家臣などの仲間の絆、そして畝る波のような時代の変遷の先に民や町が見えてくる。それら全てをじっと見ている富士の山。その後200年以上も戦のない太平が続くのを歓迎するように桜が舞う。タイトルバックというものはドラマ本編の入り口の語り部として、まるで窓の外に広がる庭のような部分だと思いながら制作しました。

  • Dousuru-Ieyasu Title-art #3 Creative Team

    Art Director: Seiichi Hishikawa

    Animator: Marina Takahashi+Seiichi Hishikawa+Ayaka Takamatsu

    Music: Hibiki Inamoto + NHK Symphony Orchestra

    Production: DRAWING AND MANUAL

Special Edition

  • その誕生を祝うかのようにオーケストラ編成のテーマ曲としてそれまでオープニングを飾っていたものを第44話のためだけに4台のピアノを使用して表現した稲本響さんの特別曲が用意されました。ピアノ曲に合わせて、まるで円相を描くように一筆の表現に取り組みました。葛藤を乗り越えながら太平の世を目指した家康の胸中を、幾重の山が静かに代弁するようにタイトルバックとして表現できたらと。数々の別れや、出会い、裏切りと忠誠の中から戦のない未来を見続けた家康の生き様。新たな春を迎えて舞う桜。見守る富士の山を簡潔に表現をし、余白から滲む物語に添えました。

  • Dousuru-Ieyasu Title-art Special Edition Creative Team

    Art Director: Seiichi Hishikawa

    Animator: Seiichi Hishikawa+Ayaka Takamatsu

    Music: Hibiki Inamoto + NHK Symphony Orchestra

    Production: DRAWING AND MANUAL

Dousuru-Ieyasu Titleback Creative Team


Art Director: Seiichi Hishikawa
Animator: Marina Takahashi+Seiichi Hishikawa+Ayaka Takamatsu
Music: Hibiki Inamoto + NHK Symphony Orchestra
Production: DRAWING AND MANUAL

Komyo-ga-tsuji | 功名が辻

Title Art | Opening Sequence of TV Drama | 2006

2006年に放映された司馬遼太郎原作の大河ドラマ「功名が辻」のタイトルバックを手がけた。安土桃山時代から江戸にかけての美術品の実物をモチーフに使ってのモーショングラフィックスにすべく、交渉を重ねて許可をいただき、歴史的に貴重な本物の美術品の蒔絵や屏風を贅沢に映像の素材として使った。現存する日本の美術品を映像素材としてこれほど用いているのは他に類はない。古の美術を現代の手法で甦らせる貴重な創作の機会となった。

タイトル曲の録音にはウラジミール・アシュケナージ氏指揮、小六禮次郎氏作曲、NHK交響楽団の演奏によって完成させている。

“Komyo-ga-Tsuji” Title-art Team

Art Director: Seiichi Hishikawa

Motion Graphics: NHK CG Room+Seiichi Hishikawa

Music: Vladimir Ashkenazy (Conducting) + Reijiro Koroku (Composing) + NHK Symphony Orchestra


Yae no Sakura | 八重の桜

Title Art | Opening Sequence of TV Drama | 2013

未曾有の震災がきっかけで制作が始まったドラマ。想像を絶するような挫折と再生の歴史がある会津若松が舞台である。制作にあたって何度も足を運び、震災で被害にあった東北地方も目の当たりにした。タイトルバックを制作するのに、そのドラマの作品だけではなく、現代の現実に起こっている状況をもインスピレーションに取り込んでいくという心をすり減らすような創作だった。挫折と再生をテーマにした映像を目指していたが、励まされているのは制作側のほうだった。坂本龍一氏とNHK交響楽団によるテーマ曲の録音に立ち会った時、そして300人を超える子供たちと最後のシーンを撮影した時は、思わず泣いてしまった。

震災直後の当時、自分の仕事が世の中の役に立てないと思いふけるクリエイター達が少なくなかった。その思いを晴らすように大河ドラマでは異例の毎月オープニングタイトルバックを新作する企画を立て、多くのクリエイターに声をかけた。全12組によるオープニングの連作が出来上がった。

参加クリエイター

1月版 小野山和代 / 2月版 福光彩子 / 3月版 WOW / 4月版 矢野藍秀+山田織元 / 5月版 古屋絵菜 / 6月版 川尾朋子 / 7月版 伊東玄己 / 8月版 semitransparent design / 9月版 tymote / 10月版 PARTY / 11月版 トム・ヴィンセント+山中有 / 12月版 菱川勢一

  • 1月版 小野山和代 (染織作家)

  • 2月版 福光彩子 (イラストレーター)

  • 3月版 WOW

  • 4月版 矢野藍秀+山田織元

  • 5月版 古屋絵菜 (染色作家)

  • 6月版 川尾朋子 (書家)

  • 7月版 伊東玄己 (映像作家)

  • 8月版 semitransparent design

  • 9月版 tymote

  • 10月版 PARTY

  • 11月版 トム・ヴィンセント (クリエイティブディレクター) + 山中有 (映像作家)

  • 12月版 菱川勢一 (映像工芸作家)

“Yae no Sakura” Title-art Team

Director/Cinematographer : Seiichi Hishikawa

Featuring Artists : Kazuyo Onoyama , Ayako Fukumitsu , WOW , Ranshu Yano , Ena Furuya , Tomoko Kawao , Genki Ito, tymote, Semitrancparent Design, Party, Tom Vincent & Yu Yamanaka

Music : Ryuichi Sakamoto + NHK Symphony Orchestra
Costume Design : 132 5. ISSEY MIYAKE
Assistant Director : Yutaka Obara
Off-line Editor : Ryosei Suzuki
CGI : Takeo Saito
Production Manager : Tadashi Egawa , Kenji Hayakawa
Line Producer : Takashi Ueno , Noritaka Moriguchi , Koji Karatsu

Thanks for big help: Fukushima kids and people

Client : NHK (Japan Broadcasting Corporation)