
Yae no Sakura | 八重の桜
Title Art | Opening Sequence of TV Drama | 2013
未曾有の震災の爪痕が、東北の大地に深く刻まれた2011年。その直後に立ち上がったこのドラマの舞台は、幾度となく敗れてなお立ち上がってきた町、会津若松。時代に背を向けられ、灰に伏してもなお、誇りを失わなかった地。その地で生きた一人の女性、新島八重は、銃を手に自ら戦い、やがて学びと信仰を携えて京都の地に立ち、時代を越えてなお「不屈」の象徴として語られる。
私たちはその八重の生き様を、まるで被災地の人々の姿に重ねるようにして見つめていた。制作にあたり、幾度も会津へ足を運び、津波に呑まれた東北の町を歩いた。そこに広がっていたのは、ただの被害ではなく、人が生きようとする静かな意志だった。
タイトルバックの制作は、物語を越えて、現代の現実をも映す作業だった。挫折と再生――それは八重の生涯そのものであり、私たち自身の祈りでもあった。表現者としての無力感に苛まれながらも、坂本龍一氏とNHK交響楽団による旋律、そして300人を超える子どもたちとともに撮影した最後の場面で、自然と涙がこぼれた。そこに宿っていたのは、言葉にならぬ希望だった。
震災直後、多くのクリエイターが自らの手が何の役に立つのかと問い続けた。だが、「誰かのために立ち上がる」という八重の志が、この企画の根に静かに息づいていた。大河ドラマとしては異例の、毎月異なるオープニングタイトルバックをつくるという挑戦。12組の表現者が、それぞれの想いを託した連作は、沈黙のなかに灯る連綿たる意思となって、あの年の記憶とともに在り続けている。
参加クリエイター
1月版 小野山和代 / 2月版 福光彩子 / 3月版 WOW / 4月版 矢野藍秀+山田織元 / 5月版 古屋絵菜 / 6月版 川尾朋子 / 7月版 伊東玄己 / 8月版 semitransparent design / 9月版 tymote / 10月版 PARTY / 11月版 トム・ヴィンセント+山中有 / 12月版 菱川勢一
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1月版 小野山和代 (染織作家)
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2月版 福光彩子 (イラストレーター)
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3月版 WOW
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4月版 矢野藍秀+山田織元
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5月版 古屋絵菜 (染色作家)
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6月版 川尾朋子 (書家)
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7月版 伊東玄己 (映像作家)
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8月版 semitransparent design
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9月版 tymote
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10月版 PARTY
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11月版 トム・ヴィンセント (クリエイティブディレクター) + 山中有 (映像作家)
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12月版 菱川勢一 (映像工芸作家)
“Yae no Sakura” Title-art Team
Director/Cinematographer : Seiichi Hishikawa
Featuring Artists : Kazuyo Onoyama , Ayako Fukumitsu , WOW , Ranshu Yano , Ena Furuya , Tomoko Kawao , Genki Ito, tymote, Semitrancparent Design, Party, Tom Vincent & Yu Yamanaka
Music : Ryuichi Sakamoto + NHK Symphony Orchestra
Costume Design : 132 5. ISSEY MIYAKE
Assistant Director : Yutaka Obara
Off-line Editor : Ryosei Suzuki
CGI : Takeo Saito
Production Manager : Tadashi Egawa , Kenji Hayakawa
Line Producer : Takashi Ueno , Noritaka Moriguchi , Koji Karatsu
Thanks for big help: Fukushima kids and people
Client : NHK (Japan Broadcasting Corporation)