srk

Photographic Art

写楽――
日本美術史の中でも特異な輝きを放ち、そして忽然と姿を消した謎の絵師である。活動期間はわずか十ヶ月。その短い時間にして、実に百四十五点にも及ぶ作品を世に残したが、その素性は長らく不明のままであり、今なお多くの謎を孕んでいる。

写楽の代表作とされるのは、言うまでもなく役者絵である。彼の描く人物は、顔の輪郭、眼差し、身体の動きに至るまで大胆に誇張され、表情には深い情念が宿る。舞台の一瞬を切り取ったかのような緊張感と迫力が画面全体にみなぎり、人物たちは今にも息を吹き返し、動き出すかのような生命感を帯びている。

その革新的な表現は、当時の浮世絵の常識を打ち破るものであり、日本国内のみならず、時代と国境を越えて多くの人々の心をとらえてきた。私もまた、その魅力に深く心を動かされた一人である。写楽の持つ圧倒的な表現力と、型にはまらぬ視点は、私の創作にも大きな影響を与え、「srk」という作品の出発点ともなった。

写楽が生きた江戸後期――芝居が市井の人々の娯楽であった時代、絢爛たる都市文化のただ中にあって、彼はそこに息づく人々の情念や矛盾、滑稽さをも鋭く描き出した。私はその時代の空気を静かに想像しながら、現代の視点で再解釈し、新たな表現へと昇華させたいと考えた。

本作では、volume1からvolume4までの四つのスタイルを通して、写楽の精神と現代の感性との対話を試みている。これは、かつて写楽が見つめた世界を、今という時代の光で照らしなおす試みであり、また、その視線の先にある新たな可能性への探求でもある。

srk | The Film

Credit :

Photographer / Cinematographer : Seiichi Hishikawa
Inspired by Sharaku
Model : RUKO, Chika Sugimoto
Styling : Jyuri Oda   Makeup : Maki Tawa, Naoko Ishii
Lighting : Tatsuniwa Doi   Assistant : Kazuo Tsujimoto
Production Management : Noritaka Moriguchi, Mizue Kawamura