
Komyo-ga-tsuji | 功名が辻
Title Art | Opening Sequence of TV Drama | 2006
2006年に放映された大河ドラマ『功名が辻』――司馬遼太郎が描いた、戦国の荒波を信義と才覚で乗り越えた夫婦の物語。そのタイトルバックを手がけるにあたり、私たちは物語の舞台でもある安土桃山から江戸初期にかけての美術の息吹を、映像に宿らせようと試みた。千代や一豊が見つめたであろう時代の光と影を描くには、当時の蒔絵や屏風といった実物の美術品そのものを素材にするしかない――そう信じ、粘り強く交渉を重ね、歴史的に貴重な作品の使用許可を得た。
その映像は、単なる背景ではない。政と情の間で揺れる千代の眼差し、一豊の不器用ながら誠実な歩みに重なるように、雅やかでありながら静かに燃えるような美術品の意匠が、現代のモーショングラフィックスの中で息を吹き返した。かつての日本の美が、司馬の物語に導かれ、時を越えて新たな姿を得た。これほど多くの歴史的実物を映像に取り入れた例は他に類を見ない。古の美と物語が、現代の映像表現の中で出会った、かけがえのない創作の瞬間だった。
タイトル曲の録音にはウラジミール・アシュケナージ氏指揮、小六禮次郎氏作曲、NHK交響楽団の演奏によって完成させている。
























“Komyo-ga-Tsuji” Title-art Team
Art Director: Seiichi Hishikawa
Motion Graphics: NHK CG Room+Seiichi Hishikawa
Music: Vladimir Ashkenazy (Conducting) + Reijiro Koroku (Composing) + NHK Symphony Orchestra