Photography Short Story Collection "Found stories from a movie that doen’t exist." Vol. 1

「存在しない映画、存在した光景」写真短編集Vol.1

Photographic Art

Official Web https://www.foundstories.photography/

これはまぎれもなく映画である。ただし、その映画は存在しない。この写真シリーズはこの世に存在しない映画のワンシーンというコンセプトで撮られている。映像作家である私が初めて写真という舞台で発表したもの。これまで訪れたさまざまな場所で遭遇した物語の一辺。ストリートでシャッターを切り、偶然写真に写ったその人物にまつわる「物語」を想像し、創作した。これらはまるでどこかに存在している映画のワンシーンを見ているかのようだ。「切り取った一枚の写真」「創造されたシナリオ」。存在しない映画であり、存在した光景である。

カメラのファインダーを覗いて写真を撮ろうとするとき、まるで映画のワンシーンを見ているかのような錯覚に陥る。その写真を現像し、プリントを眺めながらその「存在しないはずの映画」のストーリーを想像し、シナリオを書きためる。一枚の写真とワンシーンだけのシナリオ。いつしかそれはたくさんの場所にあるたくたんのひとたちによる「存在しない映画、存在した光景」として確かに存在する。

—映像作家・写真家  菱川勢一

“CMナレーションを済ませて地下鉄へ。さっそく、今さっき菱川さんに頂いた小さな本を開くと、なんとまあ、柔和な顔の車掌さん!フランス人だろうか。「おばあちゃん慌てないでいいですヨー」とか言ってそうな瞬間をパチリ。どの写真も何気ない日常のヒトコマで、人物たちの表情を眺めていると、自分の日常は自分が主役なんだなと、再認識させてくれる。日常に国境は無い、ダ。東京の地下鉄に乗りながら、フランス、ドイツ、スコットランド、イタリア….なんて贅沢な旅をしたことでしょう。写真に添えられた即興(?)文がもう一つの絞りとなって被写体をとらえる、立体構成本。ついさっき「これでいかがでしょうか」とクライアントをハッタとにらんでいた鋭い眼差しは、ふだんはこんなにも穏やかな視線の持ち主だったんですね。”

— イッセー尾形 (俳優)

“説明しろと言われてもそれは難しい。だけどそこには確かに何かが存在している。菱川さんはきっとそんな難しいものに挑んでいる作家なのだ。けど彼の作り出すものは、決して小難しいものじゃない。どこか遊びの中から生み出している、そんなたたずまいを持っている。そこが羨ましくもあり、憎らしくもある。”

— 岩井俊二 (映画監督)

“菱川さんは、文句なくカッコ良く、その作品もその人柄も、もちろんその写真も。なので、自分より歳はいくつか下なのに、菱川さんと呼んでいるわけですが、いつか、「菱川くん」と呼びたいと思っています。何か、その破片が、かけらが、この写真展で見つかるといいのに。カッコいいだけでなく、ステキで綺麗なだけではなく、「さん」じゃなくて「君」な部分が。お茶目な部分が。ありそうな気もするのです。ありそうな、なさそうな、・・・でもありそうな。みなさんもぜひ、「菱川くん」の破片をこの写真展で探しましょう。”

— 北川悦吏子 (脚本家)

“これはまさしく短編映画。モノクロなのに色が見えてくる。”

— 大貫妙子 (シンガーソングライター)

写真展は京都、東京、金沢、富山で巡回され多くの来館者を動員。写真集はVolume1が刊行された。

Kyoto Exhibition@Hotel Anteroom

Kanazawa Exhibition@Kanazawa Station

Tokyo Exhibition@Mercedes-Benz “Me”

Tokyo Exhibition@Tokyo Denki University

この写真作品を展覧会で展示する際にそれぞれの写真に音楽を用意しました。

それはまるでたった1シーンの映画のように。